スリランカ料理を食べに行こう

夫に誠意と好意を見せるため、私はスリランカ料理を食べに行った。夫の趣味の尊重のために個人経営店という不馴れな場所へ食べたことのない料理を食べようと赴いたのだ。ハマった作品のカフェ以来、ろくに外食してなかったので外で食べることが久々である。

 

店にはスリランカ人の店主がいた。日替わりランチを頼むと数分で届いた。事前に作って保温していた料理を皿に乗せてたのですぐ提供出来るようだ。仕事場を抜けて食べに来るのにはいい店だろう。

 

千円はするランチなのだが、相応にボリュームのある一皿であるようだった。客は私一人なのでゆとりがあるのか店主は何の料理か説明してくれる。どうやらカシューナッツが入った料理とバナナの花が入った料理であるようだ。他にもあるが、スリランカ料理の名前を教えられてもその食べ物が何か全く知らないので食べて確かめてみた。

 

食べてわかったことは、マスタードで辛い大根と、酢豚のような辛い食べ物と、バナナの花にネギが入ることでカレーうどんを思い出す味の食べ物と、肉のように丸められた厚揚げのようなものが入ったカレーと、カシューナッツと豆の入ったカレーであることだ。そしてカシューナッツの料理以外は辛い。料理の上にのってた大きなパリパリも辛い。

 

味の方向性は美味しいし、スパイスを駆使しているのでスパイシーなよい香りを楽しめるが、カレーは甘口よりの中辛が基本の私には当然ながら辛い。水差しを一本まるごとテーブルに置いて貰えたので、自らコップに水を注ぎながら食べた。

 

途中店主が紅茶を提供してくれた。店主はスリランカ料理は始めてかと聞いてきた。ネットでインド料理店の話題が出る度に、辛さの心配をする店員の話を聞くが、同じく香辛料を使うスリランカ料理の店主も同じことを心配してくれるらしい。これだけ水が減っていたら心配したくもなるのだろう。辛くないメニューもあると教えてくれた。次回来ることがあればそうしようと思った。大量の水分で満腹になりランチを食べきれなかったからである。辛くても頑張って食べるぞと覚悟はしていたが、水分で入らなくなることまでは考えていなかった。

 

うーん、私はなぜ辛みに強くないのだろう。そもそも辛みへの強い弱いってなんなのだろうと悔しくなりながら、夫への土産にテイクアウトの弁当を買う。店主は大丈夫か改めて聞いてくれた。ランチと同じ品が弁当箱に詰め込まれているので、夫の感想を聞くのが待ち遠しかった。

 

カレーで頭痛を拗らせたり大葉で胃が荒れる私は不調を心配していたが、スパイスを沢山食べたはずの私の身体は健康だった。大量の水のお陰なのだろうか。それともプロが使いこなすことでスパイスがよい使われ方をされたのだろうか。不思議である。

 

夫は夕飯に喜んでお土産のスリランカ料理弁当を食べてくれた。夫は辛いものを食べると顔中が汗だらけになるが、私より辛いものが食べられるのである。紅茶は家にあったノンカフェインの紅茶で代用し、土産話も満喫して充実した夕食時間になったようである。出掛けた甲斐があったというものだ。

 

その翌日、なんと夫はげっそりとしていた。なんでも胃が荒れて元気が出ないらしい。水ではなく牛乳を大量に飲んでたから荒れているのか、スパイスによって荒れているのかは不明である。異国に憧れる夫が私よりもスパイスに弱いのであれば気の毒だが、スパイスの体に合う合わないの違いは何処から来るのか不思議に思う。