この世界が好きになれない

最近は夫と過ごす時の立ち振る舞いがよくわからない。国際ニュースの話はまだいいのだが、他の細かい話はどうにも興味が湧かないのだ。国という大きな規模の話はまだいいのだが、それが集団や人の名前になると、そんな細かいことなんてどうでもいいと思ってしまう。

 

夫が移住したい話をするたびにげんなりとした気持ちになる。私という存在が嫌われることは世界のどこに行ってもどうせ変わらないし、人の顔や声の情報量すらやかましく感じて煩わしいのに、二次元作品の少ない場所にわざわざ行きたくないと思っているのだ。人が優しいとか、明るいとか、温かいとか、ようするに何もないのを誤魔化してるだけなんだろうって思ってしまう。どうせ人並みか人以上に能力がある人間が得られるものを、誰もが得られると誤解しているだけなんだろうと、そう気づかない者たちの言葉が私には信じられない。

 

本当はげんなりなんてもんじゃないのだ。過去に起きた人から傷つけられたり蔑ろにされたり笑われたり馬鹿にされた記憶を思い出しながら、何もかもが嫌だと思っている。私は三次元が嫌いになりすぎてしまった。ずっと二次元にいて、同じ二次元にいた夫は突然どこかに行ってしまって、その夫を追いかけようとしてもそれは夫と過ごせるような自分ではない存在になってしまう。

 

私が辛うじて入院歴がないのは医師の厚意もあるが、やはり二次元に心を置いていたからだ。夫のいる場所に立とうとすると、私はきっと今の生活活動すらままならない廃人になってしまう。夫にそれが伝わっているのかはわからない。ただ処理出来ない記憶と感情が燃え続けているのは事実なのだ。私は火の中に立ち続けるわけにはいかないし、この火が消えるとも思えない。

 

だから私が夫が世界の広さを語るたびに、私は世界の恐ろしさを思い出して委縮する。そんな調子なので落ち着いて過ごす方法がよくわからない。