怖くない病院や名前を呼ばない薬局が欲しい

逆流性食道炎が辛いとはいえ病院には行きたくない。病院の医師が傲慢であるとか、受付や他の利用者から横入りをされたり粗雑な対応を取られるとか、そういうことでパニックを起こしやすくて通院をすることが非常に困難である。過去の怒りがフラッシュバックしてその場では無言で自分の頭を殴ったり、手足がおかしくなってまともに歩けなくなったり、正直胃が痛い時より状況は深刻になる。

 

夫は仕事と趣味で忙しく付き添いを頼むのも後ろめたく、とはいえ市販薬を飲んで4日目だが症状が改善した傾向がない。食べ物を減らすことで栄養失調になり歯が浮く日もあった。

 

そして病院の次に辛いのが薬局である。薬局は会話する時間は長いし名前をフルネームで呼ぶ傾向があるから心底辛い。テレビの音がうるさいというのもあって近所の薬局は物凄く通いづらい。

 

ドラッグストアにある薬局なんて薬を取りに来たのにポイントカードだか電子アプリだかの勧誘をしてくる。人が体調不良で通うのもやっとの時に無駄に話を伸ばしたり何かをする工程を増やそうなんて正気の沙汰ではない。

 

そういうわけでテレビのない薬局に通うわけだが、最初に名前を呼ばないって約束したのに名前を呼ばれて声を上げてしまった。しかし業務的に淡々と謝られるだけでは怒りが全くおさまらないのだ。なぜなら私はその記憶に生涯苦しむかもしれないのにと思うと、ただ通りすがりに肩をぶつけただけみたいな雑な謝罪というものをされることそのものが釣り合わないし、そのあとさらにしゃべり続けることそのものが、これ以上記憶を残さないでくれってキレ散らかしたくなる。

 

私のトラウマによる価値観の差異を周りが理解できるわけではないし、そんなの誰も理解してやる筋合いもないだろうから、私は無言でその場を立ち去るしかないのだ。こんな思いをしてまで通院をすることも辛い。

 

やっぱり名前は変えたいけど、今度はその名前が嫌いな名前になってしまいそうで不安だ。どうしてこんな男みたいな名前なんかつけられたんだろう。お連れの方はどちらでしょうって言われたことのある名前が、中性的な名前なわけがないのだ。しかし私はこの名前を捨てると今度は普通の名前でないのに普通に出来ない人の名前になってしまいそうで怖い。私は名づけた親から虐待されて学校ではいじめに合った名前という証拠を残してないと、私の後遺症のすべてが私の自己責任になってしまいそうで怖いのだ。

 

国は名前の読み仮名も簡単には変えられないようにしたが、正直言って名前なんて毎日自由に変えられるようになって欲しい。マイナンバーがある現代ならなおのこと可能なはずなのだ。私はスケープゴートの名前で呼ばれたくないから名前は変えたいが、新しく変えた名前にも縛られたくはない。場所ごとに名前が欲しいし、季節ごとに名前を変えたいくらいだ。愛された人間の私欲もコンプレックスもない性別に沿った名前が私は羨ましい。