外にいるときにもっと内に籠る現象

私は外出が本当に苦手だ。この前も衝動的にトビーフォックスのサインを生で見たいと思いつき、ついでに任天堂ストアの空気を吸おうと渋谷に行った。渋谷には夫に連れられて行ったことはあっても一人で行ったことはほとんどない。よほど身体に合わない行為をしたせいか、着いた頃には頭がぼんやりとしていた。私は出掛ける前の予定をなぞるようにグーグルマップ頼りで店に行ってサインを見て、近くにある任天堂ストアで任天堂の空気を吸って帰って来たのである。任天堂ストアには本当に幸せそうな顔をした観光客がたくさんいる。本当にその作品が好きであるという姿は微笑ましいものである。おまけにピクミンブルームでマリオなピクミンの苗をくれる見たことのない花がマップ上に咲いていた。

 

そして私は家に帰った。私は出掛ける前に予定を建てないと何故か何も出来ない。事前に食べる店や買うものを定めておかないと、本当に何も買わずに帰ってきてしまう。渋谷の人だかりの中で飲食店に入るわけでもないので、空腹で頭がフラフラになりながら家に帰った。交通費の掛った久々の散歩だったが、外出するたびに家にいるのとでは同じ時間でも頭の調子が全然違うので不思議だ。日傘を差そうと屋内で過ごそうと水を買って飲んでみてもそれは変わらなかった。家にいるときの方が外の景色がはっきりと映っていたような気さえしてしまう。それとも想像より現実がただつまらないと思っているだけなのだろうか。

 

通院のために通っている駅の最寄りでもそれは変わらない。頭がぼんやりとしていなくても、私は普段よりも一層二次元のことを考えて二次元に縋った状態になる。歩いていながらまるで祈るように二次元へと思いを馳せる。そして家の中をどう整理しようかと家のことばかりを考えてしまう。別に家にいても画面の中を見るだけなのだが、外に行くと家のことを考えてしまうので不思議だ。まるで私がいるべき場所はここなのだと頭が誘導しているようである。頭の中はひたすらに物語をなぞり、キャラクター達の声が聞こえる。あるいは家のどこに何があるのかを思い出しながら歩いている。私は意識してか無意識なのか、世界から離されている気がする。

 

だからか私は何年経っても夫が飽きれるほどに変わらないのである。どうして三次元に興味が湧かないのかと言えば、おそらく外にいるときの方がより二次元の方に意識が向いてしまうからである。過去と空想以外の場所に私はいることが下手なのだ。