技能実習生を家に招こうとする夫

蜘蛛は益虫、エアコン清掃業者も利益をもたらす

しかしそれ以外の生き物は家に入ればすべてが害虫

私は本気でそんなことを思っている

それは人目を気にする母が人を家に招くたびに

豹変したように私を𠮟り始め最終的に家から追い出すのを

幼少期に何度かされたことによる見捨てられ不安

 

そして母がいじめの加害者を庇い褒めたことによる

自分は他者を前にして存在を尊重されなくなるという

恐怖や憎悪や殺意や自殺願望が入り混じったトラウマ

そういうものが私に人が危険だと語り続ける

 

私は夫に誰も家に招いて欲しくない

夫が他の人間といる姿を視界に入れたくない

それは見捨てられ不安を誘発してしまうからだ

技能実習生に慣れ親しんで欲しいという話で

夫は家に技能実習生を招こうとする

私がこの家に慣れ親しめなくなることはいいのだろうか

技能実習生は社宅もあれば故郷もある

しかし私の家はここだけで、故郷もない

それを部外者に踏み荒らされることが私は恐ろしい

 

人目を気にするように虐待されて育った私は

赤の他人を前にのんびりとした気持ちになれない

夫は日本人は信用できないけど外国人はわからないと言う

ロシアがギスギスしてるニュースを見たばかりなのに

国際ニュースを一緒に読んで事件も見て

あらゆる国でも犯罪が起きていて

他の国なら大丈夫という理屈が通らないことは

知っているはずなのに何を言っているのだ

夫が何に期待しているのか、私は理解できない

 

国籍以前に夫は上司で技能実習生は部下であり

夫がどんな気持ちであれ部下にとっては所詮は上司

上司が家族のように打ち解けたいと飲み会で語ろうと

参加させられる部下にとってはやはり家族ではなく

上司に対する社交辞令で返すだろう

 

夫の家族は私で、私の家族は夫で

それ以外などあってたまるかと思う

家族さえ崩壊していた私には

家族以外の関係に期待するなんて無理だ

 

家のコップやトイレが他の人間に使われる

その事実だけが嫌だ

フラッシュバックが多い自分にとって

家の中に他の人が入ることそのものが深刻なほど怖い

普段使っている部屋や食器が

まるで他の人間の目玉が生えてくるかのように

他の人間を思い出さなきゃいけなくなることが怖い

家の中の光景でフラッシュバックしたくないからだ

 

加えて私は暑がりで荷物の受け取りにも出れない恰好が

基本的な部屋着である’(エアコン26度にしても)

自律神経失調してるのかは知らないが暑がりなのだ

その生活を妨害されることも激しく苦痛だ

家に人が訪問することはまっぴらごめんである

 

そしてこの家には自室がない

つまりすべてがプライベートな空間である

なんでそんなの見せなくてはならんのだとなる

客間があるか自室があるかのどちらかでもないのに

なぜ家に人が入ってこなくてはならないのだ

 

食器棚がない剥き出しの食器や

あちらこちらにあるグッズたちが

部外者の目や唾液に晒されるのも心底不快である

しかし夫はそれらに金を掛けないつもりである

 

 

人間のザラザラゴワゴワとした

ガタガタな音程が耳に入ることも凄く不快だ

プロの聞き耳のいい声がスピーカーから流れる以外で

人の声なんて私は聞きたくない

 

これだけ複数の理由を並べてはいるが

それ以上に頭の中は過去の恐怖でいっぱいである

捨てられたくないとか、嫌われたくないとか

他の人を選ばないで欲しいとか

やっぱり私は価値がないから消えなきゃいけないとか

あらゆる言葉が駆け巡っている