失われた故郷と呼ばれていない客

ポケモンは話題性は抜群だしグッズも多く出ていて、この盛り上がりに乗れないのは惜しいなという思いもある。突然夢女子スナイパーが現れるところも面白い。

 

ただポケモンという作品はどうしても子供が真っ当な大人になるという着地点を前提にしてシナリオを作るので非常に壁を感じる。社会に寄り添う作品であるポケモンは社会から外れ者になった私を客だとは思っていないのだ。少なくともいじめで不登校になって精神疾患になって福祉でも虐待されるような社会に居場所がなく居場所を作れない人間はあの世界に存在してはならないのだろう。そうは言っても最新作はプレイ動画だけで酔ったからどのみち出来ないのだが。

 

そうした孤独の中でもやはり昔から続いている作品の品質が不安定であることを聞くと不安な気持ちにもなるので不思議だ。住む場所を移した生き物にとって自分の居場所がなくなった場所がどれだけ荒れ果てても知ったことではないはずなのである。これが現実には存在しない故郷という感覚なのだろうか。

 

ポケモンという作品がまるごと嫌いにならなくていいようにせめて誰が何を作ったのかは教えて欲しい。ポケモンのデザインを作った人はずいぶん功労者であるはずなのに一部しか明かされていないのは少し勿体ないと思う。

 

個人的にはポケモンだけの世界でコンシューマーゲームのシリーズが増えて欲しいなと思っている。トレーナーがいなければ社会への配慮に苦しむ必要もない。誰かに寄り添うために必然的に反対側の人間を切り捨てる形にもならないし、いじめはいじめられる側にも原因があるという感想がポケモンというゲームにつけられることもないだろう。スマホゲームだとリアルタイムにも追われてしまうし、日常を忘れるような作品もまたいつか作ってくれたらいいなと、失われた故郷のことを考える。