したいことがわからない

自分は誰からも傷つけられるとか、どこにも安全な場所がないことで頭がいっぱいになる。精神科のデイケアで不調で休んでる私を医師が怒鳴ってくるのを危惧した職員が私を机の下に隠していた。私はデイケアに通って落ち着いた人間になるはずが、医師の診療を受ける予期不安で調子を悪くしていたし、家では母からお金がないとか貴方は相談できる相手がいていいわねとか責められるばかりだった。

 

私を隠してくれた職員も医者から逃げることは病気から逃げることだと責任転嫁をしてきた。私はこんな場所にいたほうが病気になるというジブリで聞いたような台詞を思い出して通うのをやめた。職員は相性もあるからとこぼしていたが、あんなパワハラ医師と相性が合う人種がいるのだろうか。

 

そういうことばかりだったので安全を得られたことがない。だから私はどこも安全ではないし私にはどこにも居場所がないという絶望を抱えて、その感覚が発作的に蘇って苦しくなる。夫がいても感覚のフラッシュバックはどうこうできるものではない。

 

夫は私が暇なのが悪いと思い、したいことはないのかと聞く。私はしたいことが浮かばない。夫からしたら経験不足が原因らしいが私はどこで何をしても人は恐ろしいとか人は私を傷つけてくるとかそういう記憶が残るだけで、経験なんてろくなものではないことしかわからない。

 

心に聞いてみろと言われるが、何も浮かばない。私は夢小説を読む前から拐われて閉じ込められる想像ばかりをして押し入れにいるような人間だったし、意識を失ってたり記憶を失ったりしている設定もあったり死んでることがあったりもしたので自由があることを考えたことがない。現実では母親からの思考にまで及ぶ過干渉があったので現実的にも私は自由を知らない。外部からはお行儀よく画面の中で過ごしているのが私の自由の限界だ。

 

二次元以外の新しいことをすればいいとも言われたが、翻訳アプリでゴリ押しで飛び級をして語学アプリを続けているものの、夫が語学趣味をしているのと同じ喜びを私は得られないでいる。味のしない水だけでお腹だけ膨らんだような虚しさがある。たくさんアプリはやったはずなのに、何故か間違っているような気がしながら布団に入ることが悲しい。人と同じ脳や神経やらの身体を持った私にそもそも人が言うような自由が存在するのかさえよくわからなくなる。胸が締め付けられてる感覚だけわかるのに、どうしてしたいことは何もわからないんだろう。