子供にもなれてなかったかもしれない

今週のお題「おとなになったら」

大人になったらゲームする時間がなくなっちゃうのかなってゲームしながら考えてるような子供だった。私はもう子供の頃からあまり現実で生きることに夢を持っていなかった。不器用だから手先や体力を必要としないような仕事をしてるのかなって冴えない自分の未来の姿を浮かべる程度で、それよりゲームで何をするかの方が大切だった。

 

人は私となるべく一緒にいたくはないのだと感じていた。どこにいても居心地が悪かった。誰もいなかったら私に話しかけることもあるだろうが、他の誰かがいたならそちらに行ってしまうのだということを知っていたし、私には人に好かれるような魅力などないこともわかっていた。だから正直働くという人の輪の中に自分がいることさえ浮かんでいなかった。

 

人々が語るような子供らしい夢を育むことすら出来なかった私は、まともに子供にすらなれてなかったのかもしれないと思う。ただただ怖くて、どこかに隠れたいことばかりを考えていて、自分がどこかにいる姿が想像出来なかったのだ。どこかに連れ去られてしまいたいという逃避願望以外を持っていなかった。自分という存在があっていいと感じる場所がないことは、自分の未来に夢を持つことを難しくさせた。

 

さっきまで白髪を何本も切っていた。後ろ側にある白髪の本数がどうなっているか自分ではわからない。さすがにこの年齢でこんなに白髪が生えるとは想像していなかった。みすぼらしいなとは思うのだが、この問題に対処する費用で趣味の世界を探求した方がいいような気がしてくる。私の存在はこの世界に望まれていないのに、この世界での見てくれなんてどうでもいいじゃないかと考えるからだ。

 

鏡には老いた自分が移っているのに、心の中には子供の頃の抑圧されてきた生々しく攻撃的な感情だけが残っていて、自分のどうしようもなさのことを思い出す。もっと幸福な子供時代を持った大人になりたかったなと思う。髪の毛の中から白髪を探す暇つぶしをやめて、私はまた画面の中を見つめる。大人になってもゲームをする時間がこんなにあるとも考えてなかった。